あの激痛はもうこりごり
しかし腎結石や尿管結石は治療後5年以内に4~5割の人が再発すると言われています。
だから再発予防がとても大切です。
再発予防の基本は、
①水分を多めに摂ること
②肥満の防止
③食生活の改善
です。
そして、
「結石は夜作られる」
こんな標語があります。
1.水分は何をどれだけ飲んだらいいの?
実は明確な指針はありません。
いろいろ調べてみると、
水道水、ミネラルウォーター、麦茶やほうじ茶
が良さそうです。
そしてこれらを、
1日2,000㎖以上飲むことが推奨されています。
ミニコラム 毎日結石予防のために1日に2,000㎖毎日飲むことは可能か?
私、実験してみました。
ある日、麦茶を2L買って1日で飲みました。
さらにおしっこの記録(排尿記録)も同時に書きました。
春の比較的涼しい日、1日中、室内にいた日なので1日2Lの麦茶は結構つらいことでした。
トイレには10回以上行くし、夜も普段は起きないのにトイレに起きました。
尿量は3,000㎖以上も出ました。
実は調べてみると「1日2,000㎖水分を摂ろう!」の出どころは欧米の論文からです。
1日尿量が1,000㎖以下で結石ができやすくなり、1日尿量が2,000㎖を超えるとできにくくなるという欧米人を対象としたデータでした。
日本人は予防のために毎日2,000㎖以上も飲まなくていいのかもしれません。
脱水にならないように意識して多めに水分を摂るだけでいいのではないでしょうか?
一方で結石予防目的で大量に飲むことが勧められない飲み物があります。
NG飲料ですね!
それが、
①アルコールはNG(当然ビールもNGです!)
②コーヒーも結石予防には良くなくてNG
③紅茶もNGです。
④清涼飲料水もNG。砂糖は結石を作ってしまう原因になってしまいます。
⑤高級緑茶(玉露や抹茶)、ウーロン茶も尿路結石の原因であるシュウ酸を多く含むためNG。
2.肥満と結石の関係
尿路結石と動脈硬化の発症は極めて類似点が多く、
「尿路結石はメタボリック症候群の一疾患」とも言われています。
とくに女性が結石と肥満の因果関係が強いと言われています。
3.食生活の改善:何をどう改善したらいいのか?
①シュウ酸の摂取量を減らす。
これは、尿路結石の多くが「シュウ酸カルシウム結石」だからです。
そもそも尿路結石ができる仕組みは、簡単に言うと
「塩水(尿)を煮詰めると塩の塊(尿路結石)ができる」
ということだからです。
シュウ酸を多く含む食べ物には何があるのでしょうか?
葉菜類(ホウレン草などのいわゆる葉物)の野菜
たけのこ
紅茶
お茶(玉露、抹茶)
バナナ
チョコレート
ピーナッツ
アーモンド など
食べすぎに注意しましょう。
ただ習慣的に大量摂取しやすいのは高級なお茶や紅茶などの飲み物のようです。
②カルシウムは十分摂取すること。
シュウ酸カルシウム結石が多いのなら、カルシウムも減らすべきと思われがちですが逆なのです。
シュウ酸とカルシウムを同時に摂取するとシュウ酸カルシウムは尿中に出ずに便中に排泄されるようになり尿路結石の予防になるようです。
ということで、
ホウレン草のおひたしにはちりめんじゃこ
紅茶のむならミルクティー
チョコレート食べるならミルクチョコレートがいいなどと本には書いてあります。
③尿酸値を上げない食生活を!
痛風で有名な尿酸ですが、尿酸結石の原因にもなります。
また尿酸値が上がるとシュウ酸カルシウム結石もできやすくなると言われています。
尿酸の原料はプリン体です。
プリン体を多く含む食品の大量摂取は控えましょう。
プリン体の含有量が多い食品の代表が甲殻類(えび、かになどですが)
鶏レバー
マイワシ干物
イサキ白子
あんこう肝酒蒸し
はプリン体の含有量が極めて多く、
豚レバー、牛レバー
カツオ
マイワシ
大正エビ
マアジ干物
サンマ干物
もプリン体含有量が多いようです。
そして「結石は夜作られる」について
夕食から就寝まで4時間あけることが理想です。
これは夜間、就寝しているときには体があまり動かずじっとしていることや汗などによる水分喪失などで結石ができやすい時間帯だと言われています。たしかに夕食で食べたものが血液中から尿中に排泄されたとき、じっとしていると尿の中で結晶ができてくることが想像できますね。
食事の影響は食後2~4時間でピークに達して、そのあとは徐々に減っていくそうです。
だから夕食から寝るまでの時間が短いと睡眠中の尿に夕食の影響が出やすくなるのですね。
文章・イラスト 南里泌尿器科医院 院長 南里正晴