准看護師資格試験解説②

佐賀市医師会立看護専門学校(高等課程)1年Aクラス授業プリントの資格試験問題の解答と解説です。
まだ問題の整理ができていなかったので暫定版です。
今後、資格試験を受ける生徒さんの役に立つように問題のセレクトと解説の充実を行う予定です。

1)浮腫をおこす主な原因について、正しいものは。
①貧血
②うっ血
③虚血
④出血

解答・解説
こたえは②のうっ血です。
この問題は難しいでので授業で解説しました。
後日、ここにも詳細を記載する予定です。

2)健康な成人の排尿について

①尿比重は1.035~1.045である。
×尿比重の基準値は教科書によって異なって書いてあります。
  だいたい1.010より低いと尿は薄すぎる(異常)
  だいたい1.030より高ければ尿は濃い(異常)で覚えておきましょう。
  だから1.035~1.045は異常高値ですね。

②1日の尿量は2,000~2,500mLである。
×成人の1日尿量は1500mLで今は覚えておいてください。
 ほんとうは体格で1日尿量の目安は決まります。
 だいたい体重×25ぐらいなのです。
 だから一般的な成人体重を60Kgとすると
 60(Kg)×25=1500mL/日となるのです。参考まで!

③膀胱に150~300mLの尿が貯留すると尿意を感じる。
:だいたい200mL程度尿が貯まると人は尿意を感じると覚えておきましょう。
  200mLで尿意
  300mLぐらいでトイレに行こうかなとなり
  通常は残尿なく排尿する。(50mL以下の残尿は正常)

④内尿道括約筋は陰部神経支配である。
×:難問ですね。
教科書「人体のしくみと働き」p222の図を参照
陰部神経が支配しているのは外尿道括約筋です。

排尿に関する神経支配はこの分野を専門にすると重要なのですが看護学生さんが完全にマスターするには時間がかかるのである程度の知識で良いと思います。試験問題に出たら他の選択肢との兼ね合いで判断するほうがよいでしょう。

3)一時的導尿について、

①尿失禁がある場合に実施する。
×:導尿は尿閉(尿が膀胱にたまっているのに出ない)時に実施します。
  ただし尿失禁がひどく、皮膚障害など起こしているときに(皮膚の治療のために)カテーテルを留置することはあります。

②無菌尿を採取する場合に実施する。
:特に女性の場合は通常の中間尿では陰部の汚れや血液が混じりやすいので正確に尿の状態を知りたいときは導尿して尿を採取します。

③フォーリー(バルーン)カテーテルを用いる。
×:バルーンカテーテルは留置するときなので一時的導尿には使いません。

④女性の場合は、カテーテルを4~6㎝挿入する。
:この手の問題の解答のコツは①女性の尿道の長さは3cmと覚える。②女性で導尿の時に10cm挿入は入れすぎと覚える。
  従って女性のカテーテル挿入の長さは3㎝を超えて10cmを超えない選択肢が正解。

4)成人女性の導尿について

①小陰唇を開いて、尿道口を確認する。
:小陰唇の奥に外尿道口があるから。

②消毒は、膣口から尿道口に向かって行う。
×:尿道口から外側へ向かって消毒します。理由はもっともきれいにしないといけないところがカテーテルのは入り口である尿道口だからです。

③カテーテルを挿入することを伝え、口呼吸するように説明する。
:口呼吸というところがポイントです。

④カテーテルは、尿道口から4~6cm挿入する。
:これも原則通り。「女性の尿道の長さは3cm」と覚える。導尿のカテーテル挿入はその3cmを超えて、10cmを超えない選択肢が正解。

5)男性の導尿について、

①体位は側臥位とする。
×:仰臥位(上向き)です。

②外尿道口の消毒は不要である。
×:外尿道に雑菌がいるので必要です。

③カテーテル挿入時は口呼吸を促す。

④カテーテルの長さは25㎝以上である。
×男性の導尿問題の原則。①男性の尿道は18cmと覚える。②正解の選択肢はそれを少し超えたものを選ぶ。

⑤外尿道口は、外側から中心に向けて消毒する。
×:これは大丈夫ですね。

⑥カテーテル先端に消毒液を垂らす。
×:消毒液ではなく潤滑剤。

⑦カテーテル挿入時は鼻呼吸を促す。
×:口呼吸です。

⑧カテーテルを留置する場合は、陰茎を頭側に向けて固定する。
:陰茎を下方に向けて固定すると「陰茎陰嚢角」に潰瘍ができ、やがて膿瘍、尿道瘻を作りやすくなるので上方に持ち上げて固定します。
 (後日追加解説の予定)

6)導尿について

①体位は、左側臥位にする。
×:仰臥位ですね。

②挿入時は、カテーテルの先端に潤滑剤を塗る。
:もう大丈夫

③成人女性のカテーテルの長さは3㎝以内とする。
×:これも女性導尿の原則を覚えておけば迷わない。

④尿閉のある患者には、導尿を行ってはいけない。
×:尿閉の時に行うのが導尿。同じ尿が出ない状態でも「無尿」の時に導尿しても意味がないことは良く覚えておきましょう。
 膀胱内に尿がほとんど溜まっていないのが「無尿」だからですね。

⑤尿検査は、出はじめの尿を採取する。
×:通常は最初の尿は捨てた「中間尿」で検査します。

⑥試験紙法による尿検査は、試験紙を15秒以上尿に浸して判定する。
×:1秒か2秒程度です。

⑦カテーテル挿入時に無菌操作は必要ない。
×:教科書的には無菌操作です。

⑧カテーテル挿入時は息を止めるように説明する。
×:口呼吸ですね。

⑨女性の場合、挿入するカテーテルの長さは4~6cmである。
:女性カテーテル挿入問題の原則から。

⑩持続的導尿の畜尿バックは膀胱より高くなるように固定する。
×:膀胱より高く上げたら逆流しますよね。

7)導尿の援助について

①尿閉に対する処置として行う。
:もう大丈夫?

②消毒されたカテーテルを使用する。
×:滅菌ですね。

③成人の場合、ネラトンカテーテルは5~8Fr.を使用する。
×:12Fr.ぐらい。
この問題をネラトンカテーテルの基本知識と解剖の知識で考えると、
例えば18Fr(フレンチ)のカテーテルの内腔は18÷3=6mmと覚えていますか?
(つまりフレンチサイズを3で割ったらカテーテルの内腔サイズになる)
尿道の直径は内腔は1cmぐらいです。(つまり10mmぐらい)
というこうとは設問の5~8Fr.とは(5~8)÷3≒2mmとなります。
現場で成人の導尿に2mmぐらいの細いカテーテルを入れているところ見たことあります?
5~8Fr.が×だということが分かります。

④成人男性の場合はカテーテルを10㎝挿入する。
×:これも男性導尿問題原則の知識でOKですね。男性は18cmを少し超えた選択肢が正解。

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